
個別指導の学習空間 埼玉西部 坂戸西教室・学プラ担当の小宮 優人です。
今回書く内容は、理科の授業で1度は耳にするであろう「沸騰石」についてです!
理科の実験で、水などの液体を加熱する際に必ず沸騰石を入れることになると思いますが、その理由を問う問題の模範解答を見ると「突沸を防ぐため」と書かれていることがあります。
しかしながら…
突沸って何ぞや?
突沸って危ないのか?
何で沸騰石を入れると突沸って防げるんだ?
と思ったことはないでしょうか?実際突沸の危険性が分からないと、何でわざわざ沸騰石を入れて防がなければならないのかピンとこないと思います。
今回の記事で、その片鱗を少しでも感じ取れたらいいな、と思いつつ執筆しています。今回は前回の記事と違い、ガチガチの理系記事になりますので、念のためご注意ください。
さて、まずそもそも突沸とは何なのか、ということから話していきます。突沸とは、読んで字のごとく「突如沸騰が起こること」を言います。
そもそも沸騰の定義とは何なのか、という話ですが、Wikipediaによりますと、
…うん、なんのこっちゃってなりますよね(笑)
話を分かりやすくするために、家の中で、鍋の中に水を入れて、加熱しているシーンを想像してみてください。しばらく加熱を続けると、水の表面だけでなく、鍋の底面からも泡が発生し始め、最終的に激しく泡が発生しているところが思い浮かぶのではないでしょうか?
このように、液体の表面からではなく、内部からも激しく水(液体)が水蒸気(気体)へと変化していく現象を沸騰、と呼ぶのです。(ちなみに液体の表面からのみ気化している場合は蒸発といいます)
さて、この沸騰という現象ですが、通常液体が沸点の温度(水であれば100℃)に達すると起こる現象である、ということは皆さんご存知でしょう。何なら、泡の発生自体は、軽度なものであれば沸点にまで達していなくとも起こっています。
ところが、ある程度条件を満たすと、沸点に達していても沸騰どころか泡の発生すら起こらない場合があります。これを過加熱状態といいます。これは言ってしまえば、噴火寸前の火山を無理矢理せき止めているようなもので、ちょっとした刺激があれば一気に爆発、ということにもなりかねない、非常に危険な状態です。
そんな不安定な状態にある液体に、ちょっと刺激を与えてしまうと…もう、お分かりですね?
それまで押さえつけられていたものが一気に解き放たれる、すなわち段階を踏むことなく一気に沸騰が起こる、これが突沸という現象なんです。
ここには貼りませんが、気になる方はYouTubeか何かで「突沸」と検索をかけてみると、突沸が起こっている動画がヒットするかと思います。それを見ていただくと分かるのですが、突沸が起こると、なかなかの勢いで試験管内の液体が飛び出します。飛び出す液体は当然、高温になっていますから…状況によっては火傷間違いなしです。
この突沸という現象のキーになってくる部分は、いくつかあるのですが、大きいものですと「加熱段階で泡を発生させることができているか」という部分になります。裏を返せば、加熱途中で液体内部に泡を発生させることができれば、突沸を抑えることができるんですね!
ここでようやく沸騰石の話になります。
実は沸騰石の表面には無数の小さい穴が開いており、加熱された液体の中に入れておくと、その穴が泡の発生起点になります。
沸騰石表面の穴を起点として泡が発生することによって、沸騰が穏やかに進み、突沸を抑えることができる、というメカニズムとなっているんです!!
こういう風に考えると、見えてこなかったものに対して少しは理解できるのではないでしょうか?
ちなみに余談にはなりますが、突沸は液体であればどのようなものでも起こる可能性があります。泡の発生起点になるものとしては、
・容器の凹凸
・温めている液体の中に含まれる不純物
・溶け込んでいるガス
等があります。普通に水道水を温める、とかであればさほど気にしなくてもよいのですが、理科の実験の場合、これらのどれも満たしていない場合が多いです。そのため、突沸が非常に起こりやすい状況になっています。
また、普通の水であればそこまで警戒せずとも問題はないのですが、これがコーヒー等のように多少粘り気があり、かき混ぜたりしてもなかなか泡が発生しないものになってくると突沸のリスクがグンと上がります。実際突沸による事故というのは毎年起こっているらしく、10年ほど前に、味噌汁を鍋で温めていた際に突沸が起こり、女性が顔に大火傷を負う、という事故が愛知で発生しています。
先述した事故の場合も、濃いめの味噌汁を温めていたことと、鍋の底部のみを局所的に、かつ急激に加熱をしていたことによって泡の発生が阻害され、結果突沸につながったわけですね。
日常生活において突沸を防ぐためには、加熱する際にかき混ぜながら行うのが一番手っ取り早いですね。常に刺激を与え続けることになるので、大規模な爆発(突沸)が起こる前に泡を発生させることができますからね…。
ただ、突沸による事故は電子レンジでの加熱が多いです。例えば、コーヒーを電子レンジで温めた後、取り出してミルクを入れる(コーヒー素人なのでこの辺り分からないんですが)とかかき混ぜるとかしようとして、下手すると取り出した際に少し水面を揺らしただけで、突沸が起きて吹きこぼれて、コップを持っていた手に大火傷、なんてこともあり得ます。あまり長く温めることは避け、「温め過ぎた!」と感じた際には、時間をおいてから取り出すようにするといいかもしれないですね。
思ったより長くなってしまいましたね…。
やはりこういったネタになってくると語り倒したくなります(笑)
またこういう理科ネタを投稿することがあるかもしれません。ほとんど自己満足なので、生暖かい目で見守ってくださいな(笑)
では、また。