「正体」の感想

こんにちは。
個別指導の学習空間、静岡東部エリア富士宮教室・長泉教室の福地です。

染井為人さんの小説「正義の申し子」が痛快なエンタメ小説で気に入り、関連作品として出てきた「正体」も読んでみました。

平成最後の大犯罪、一家殺人で捕まった少年死刑囚、鏑木慶一(かぶらぎ けいいち)は刑務所から脱獄を果たし、全国を逃げ回りながらの生活が、逃亡先で出会う様々な人の視点で描かれていきます。
※以下ネタバレを含みます

全力の逃亡を続けながらも、成り行きで人助けをしたり、頭脳明晰なだけではなく、他者に対する誠実な一面も見えてきます。
徐々に鏑木が殺人犯とは信じられなくなってくるのですが、

冤罪事件からネットで炎上してしまった渡辺淳二に対する理解を示す所で、鏑木も冤罪なのではないかと思い当たり、最後の勤め先のグループホーム青葉での告白で、ついに冤罪だと判明します。
これまでの鏑木の不可解な行動にも合点がいき、そこからの逆転があるかと思いきや、警察に確保されてそのまま亡くなってしまいます。

逃亡生活の中で鏑木と関わった人たちが、彼の名誉を取り戻そうと団結している様子には、希望を感じるラストでしたが、鏑木に生きていてほしかったと、やるせない気持ちになってしまいます。

あとがきで筆者も鏑木を殺したくなかったと書いています。
エンタメ小説ではあるが、現実でも過去に本当に冤罪で死刑が執行されてしまったこともあり、よりメッセージ性を持たせたくてこのような結末にしたようです。
実際に僕も現実の冤罪事件について興味が湧き、調べてみると、そこでまた衝撃を受けました。(飯塚事件や袴田事件など)
・・・司法に関する課題は難しいですね。
ロックマンエグゼで裁判に関するAIが出てきていた気がしますが、取り調べや裁判にAIが導入される日も来るのでしょうか。

いつか裁判員に選ばれたり、もしかすると冤罪に巻き込まれてしまうこともあるかもしれないので、もっと現状に興味を持っていかなければと思う読書でした。

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