個別指導塾の学習空間、彦根・八日市教室の成田です!
日本には「言霊」という言葉があります。
言葉に宿る不思議なパワー…みたいな意味の言葉ですね。
私はこの言葉が好きで、迷信じみてはいるものの大事にしている考え方です。
新卒で間もない頃にお世話になった上司が、こんなことを言っていました。
誰かを送り出したり、見送るときは必ず「気をつけて!」と言うようにしている。
それを言えば、相手はきっと事故などに合わず、無事でいてくれるはずだと思える。
自己満足のようなものだし、何の科学的根拠があるわけでもない。
一種の祈りのようなものだ。
でも絶対、そう伝えることに意味はあると思う。
言葉にはそんなパワーがある。
それを聞いてから、私はそういう声かけをとても意識するようになりました。
あぁ、言葉ってなんか深いなぁ、なんて若造ながら感銘を受けた記憶があります。
実際、言葉には相手の行動をコントロールするパワーがあると言われています。
ピグマリオン効果、という言葉があります。
これは、「人は期待されたとおりの成果を出す傾向がある」という考え方です。
有名な実験の一つを紹介します。
二つのクラスがあります。一方は成績の良いクラス、もう一方は成績の悪いクラスです。
それぞれのクラスに先生がつくのですが、成績の良いクラスにつく先生には、
「このクラスは成績の悪い生徒のクラスです」
と伝えます。
そして成績の悪いクラスにつく先生には、
「このクラスは成績の良い生徒のクラスです」
と伝えます。
その結果、「もともと成績の良かったクラス」の成績は下がり、
逆に「もともと成績の悪かったクラス」の成績は上がったそうです。
これは、両クラスの生徒への対応が無意識に変化してしまうためと言われています。
成績が良い子だと思い込んでいると、自然とポジティブな言動が出やすくなります。
うまくいかなくても、「君なら大丈夫だ!」というメッセージを多く与えるでしょう。
成績の悪い子だと思い込んでいると、無意識にネガティブな言動が出てしまいがちです。
うまくいかないと、「君には無理かもなぁ。」と思わず伝えたりするかもしれません。
これこそ「言霊」ですね。
もちろん我々講師は、生徒にかける言葉には十分気を使います。
伝え方一つで、やる気にも結果にも大きく影響することを知っているからです。
しかし「無意識レベル」の影響は、改めて気をつけねばと感じます。
例えば、この子は成績が伸び悩んでいるという情報があれば、
指導一つ一つの判断に調整を加えます。いわゆる「個別指導」です。
しかし、個別に生徒の能力に合わせた対応をすることが、逆効果の可能性もあるわけです。
生徒が難しい問題が解けないことに対して不安にさせないために、
「この問題は難しいから、まだ今はできなくても大丈夫だよー」と言って、
自信をつけさせようと比較的易しい課題を与えることが、
ひょっとすると生徒の成長を阻害しているかもしれません。
「言霊」のパワーは、おそらく思った以上に強大です。
マイナスではなくプラスの結果に繋がる言霊パワーを操れるようになりたいものです。